ガロアの手紙 -序章-2-

【競馬の暗号-12-】

 前項において函数暗号というお話をしました。それはつまり、現時点で暗号化の数式とこれを元に戻すための復号数式が判明、公開されている種類の暗号技術です。そしてこれにはある程度の改良を施したものも含まれます。

 こうした種類の暗号技術はある意味で既に暗号とは呼べない代物です。解法が判明している暗号技術はその復号過程が如何に複雑で時間を要するとしても、復号可能という時点で秘匿する情報はいづれ復号されてしまう運命にあります。

 一般的に認識されている暗号技術はほぼ全てがこの種類のものです。
 従いまして実際に完全な秘匿を要する真の暗号技術はその概念さえもが隠されていると考えてください。また、それを競馬の暗号という意味に置き換えれば、皆さんはその暗号技術自体を全く知らないと考えるべきです。

■閉ざされた時代

 こうしたお話をする事について、私の個人的な利益は何もありません。しかしあえてお話をしている意味はただひとつ。真実を語る者が何処かに居なければいけいないという信念です。

 中世ヨーロッパ、教会の力が社会の全てを支配した暗黒の時代。それでも地球は太陽の周りを回っているのだと叫び死んでいった男が居ます。人差し指を天に向けたまま切り取られたその手首は、現在もその実物が保存されています。

 しかしこの暗黒の時代でさえ、それは現代の社会よりもマシであったかも知れないと思います。一見自由であるように見える現在ですが、真実はより深く閉ざされ、巧妙に隠されたまま永遠とも思われる闇の中、多くの人々は明日を閉ざされた社会でそれと気づく事もなく日々を送る、それが現代という時代であるように思われてなりません。

■無くならないコード

 1980年代、それはいま40代前半の人々が生まれるか、生まれる前の時代です。この時期、日本の科学技術の研究は多くの分野で世界をリードしていました。そしてそれらの成果は新しい時代の到来を告げる幕開けとなるはずでした。

 しかし2024年の現在、それらの成果の殆どは深い闇の中へ隠されています。21世紀の現在、私たちの日常生活は40年前と何も変わっていません。車は相変わらずガソリンとタイヤで走り、電気製品には必ず電源コードが付属します。

 僅かに開放された技術は液晶と光ファイバー。しかしこれはパソコンとスマートフォンという兵器を一般社会に浸透させるための開放です。事実この社会は今やこの2つが無ければ成立しない日常で、社会を我が物顔で支配しています。

 携帯通信計画は当初、衛星通信を利用する予定でした。しかし現実は基地局の数だけが勝負の頼りないものです。リニア新幹線計画は当初超電導により車体を浮遊させ車両の摩擦を無くす計画でした。しかし現物は磁力で浮かした磁気磁界の化け物で、生命に危険すぎて運転席さえ作る事が出来ない現実です。

 自動車を始めとする機械、機器の動力源となる燃料電池は40年前既にに完成していました、しかしそれも闇の中。圧力と磁界が物質の形態と挙動を限りなく変化させる研究は現在も全てが深い闇の中に沈められています。

 真実を失った現代という社会は、真実を語る者こそが罪であるかも知れません。しかし私はそれでも【地球は回っている】と、語り続けていたいだけです。